映画やマンガを中心に、好きなものだけチョイス。下手甘イラスト付きレビューです。『笑いと元気』が合い言葉。
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夕凪の街 桜の国
2007年08月21日 (火) | 編集 |
夕凪ってロマンチックに聞こえるけど、夕方に風がやみ蒸し暑い状態をいうんだ...と、あらためて思い知った。今までにも、私には知らないことはたくさんあったけど...。

夕凪3402.jpg

『夕凪の街』はノスタルジックな風景と、出ている役者さんもその時代にすんなり溶け合っていました。
皆実を演じる麻生久美子が儚くて ”結婚”という幸せにも踏み切れず、罪悪感を感じてしまう女性を切々と演じています。皆実が幸せになろうとすると、あの時の情景がフラッシュバックされ、観ているこちらも辛いです。もう体の奥にしまい込んでいる傷に触れられているみたいで、涙が止まりませんでした。マンガと違って、映画のほうが湿り気多めです。顔中、塩辛くなりました...。

『桜の国』のほうは『夕凪の街』とパキっと色調と雰囲気が違うので、私には最後までなじめませんでした。マンガは同じ絵柄ですから語られるトーンは一緒なんで、違和感が無かったんですが。
この映画は、マンガの原作に忠実なんですよ。
原作ファンとしては嬉しいのですが、それは時として両刃の剣。
マンガではスルーして読むところが、実写になると不自然で納得いかない部分があり、そこは脚本を実写用に変換してほしかったです。


生まれる前
そう あの時 わたしは ふたりを見ていた
そして 確かに このふたりを選んで
生まれてこようと決めたのだ

と、少しファンタジーなセリフもあるので『桜の国』もノスタルジックな色合いで寓話のような感じでも良かったかなぁ...。
脚本を練る時間が少なくて、熟成しなかったんでしょうか...。
これは、マンガ実写化映画としても少し残念。
『夕凪の街』が良かったんで『桜の国』も揃えば、くるんと完成度の高い映画になっていたと思います。

どちらかというと、私は映画よりマンガのほうが好きです。


マンガでは、皆実は倒れてからあっという間です...。
眼も見えなくなり、真っ白いコマの中で語られる...。

嬉しい? 10年経ったけど
原爆を落とした人はわたしを見て
『やった! また ひとり殺せた』
とちゃんと 思うて くれとる?

なんて哀しい独白だろう...。

少なくとも、私は原爆のことを忘れません...。


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まずタイトルの『夕凪の街 桜の国』に感心しました。
こうの史代さんは、手塚治虫文化賞新生賞を取るまで、全然知らなかったマンガ家さんです。他の作品は、未読です。
このマンガは平積みになっている時は目立つのですが、背表紙で並んでいる時はつい見逃してしまう薄さです。
少し古風な絵で、このような題材のストーリーに似合うと思いました。
叙情的な雰囲気と飄々としたユーモアがある静かなマンガです。

”あとがき”も興味深かったですね。
このマンガを描いたくだり。
学生時代から原爆資料館や記録映像で倒れかけたこと。


そして『原爆』に関する事は避け続けてきたこと...。
描いてみようと決心するまでの心の推移...。

控えめな表現ながら、マンガにもご自身の体験や想いがリアルに反映されていましたね。


夕凪2401.jpg女の人は、背景を描くのが得意じゃない気がします。自分がそうなんで(汗)
今はデジカメで資料を撮り、PCに取り入れ加工する事も出来るわけですが。

このマンガでは印象的な背景が何枚か、丁寧に描かれています。

中でも、この絵ははっと胸を衝かれました。

繊細なペンタッチでゆらりと描かれた原爆ドーム。

まるで、一瞬の爆発と閃光に溶解してるかのように...。
それとも、酷暑の太陽に照らされ陽炎のように揺らいでみえる...。

解説によると、マンガを描くにあたって写真を追うと、年々原爆ドームが崩れ小さくなっているそうです。


こうの史代『夕凪の街 桜の国』p.27より


久間元大臣の『しょうがない』発言もひどいですが、今の原爆資料館を運営する広島文化センターのスティーブン・リーバー理事長は『館の展示内容を見直す検討委員会に、中韓らのアジア出身の委員を起用し、他民族が共感、納得する施設にしたい』と中国新聞のインタビューに答えていました。
その発言も違和感があったのですが、原爆を投下した国の人間が館の理事長だったんだ、と驚きを隠せませんでした。

原爆の長期に渡っての被害や悲惨さが、アメリカをはじめ世界へ伝わってない気がします。
もう少し、ストレートに語られていいかと思います...。

こうの史代さんのマンガは、静かに『忘れないで』と語りかけてくれるようです。


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コメント
この記事へのコメント
Ric
初めまして。TBありがとうございました。

私はもともと原作派なので、映画にはなじめないところの方が多かったです。原作において重要な位置を占めている、皆実と七波の相似が、映画では全くといっていいほど感じられませんでした。
いっそ、映画版では「七波は皆実の生まれ変わり」ということにでもしてしまった方が、見る側にはすんなり受け入れられたかもなあ、とも思ってしまいました。

原爆については、確かに知られてないことが多いのでしょうね。
私はこの前「ミリキタニの猫」という、アメリカの日系収容所を経験した男性のドキュメンタリー映画を見て来たのですが、作品の中で「イラクに原爆を落とせ」と書かれた落書きを見て、ミリキタニ氏が「バカどもめ、何もわかっとらん。みんな灰になってしまうんだぞ」と苦々しげに呟いたのが忘れられません(この方の母方の実家は広島で、原爆で全滅してしまったのだそうです)気づかれないところで、たくさんの人に悲しみを与えてしまったんですよね。
2007/08/25(土) 23:05:24 | URL | 名無し #3aXRcdxk[ 編集]
>欧米文化さん
こちらこそ、TBとコメント、ありがとうございました。
私は賞を取った話題のマンガという事で、こうのさんのマンガを読んだので、真のファンとは言いかねるのですが、マンガの一貫した流れと雰囲気は出てない気がして...。
でも『天然コケッコー』を観た後ばかりで、原作の雰囲気を閉じ込めた作品は出来るんだ!と感動したばかりだったので、この映画はちょっと残念でした。『夕凪の街 桜の国』の映画は、上手く出来てほしかったから。

原爆については、今まで平和教育で色んな事も一緒に教えすぎるから、肝心の原爆の被害を言えない雰囲気だった、と思います。
アメリカ映画で宇宙船に核を打ち込むとか核の体感施設とか聞くと、その軽い扱いに、原爆の悲惨さは伝わっていないんだろうな、と感じてました...。
『ミリキタニの猫』猫の絵を描いているホームレスのアーティストの映画としか知りませんでした。そんな背景がある方の映画だったのですね。
>『バカどもめ、何もわかっとらん。みんな灰になってしまうんだぞ』
そうですね。そして凪生の代まで影響が出るのに...。
2007/08/26(日) 00:20:25 | URL | 管理人 #-[ 編集]
コメント&TBありがとうございました。こちらからもTB送らせて戴きました。
夕凪の街がよく出来ていただけに、桜の国はちょっと残念でしたね。語るに語れない旭の気持ちがわかりにくかったのかも。
いい映画であることには変わりないので沢山の人に観て欲しいなと思いました。
2007/08/26(日) 22:53:50 | URL | がるぼ #-[ 編集]
>がるぼさん
こちらこそ、TBとコメント、ありがとうございました。
桜の国はちょっと残念でしたね。流れって、大事なんですね...。
旭役の堺正章さんは『桜の国』原作マンガのお父さんに確かに似ているのですが、映画の流れとしては『えっ打越さんと旭君!こんなになっちゃったの!』という感じでした...。
でも、いい映画なので、皆に観てほしいですね。
2007/08/28(火) 15:01:36 | URL | 管理人 #-[ 編集]
原作はぼろ泣きしそうですね。
あんさん、こんばんは。
「夕凪」パートで嗚咽を堪えるのが大変でした。
さすがに映画館ですしね(^^;)
マンガなら自室でじっくり・・で、きっと呼吸困難になりそうな気配。
思うところは沢山あるのですが、語るとうそっぽくなるので、あまり語らないことにして、1人噛み締めることにしました。
私も忘れませんw

麗奈ちゃん、も少し色黒だったよーな(笑)
”健康的”な肌の色が印象深かったです。
2007/08/31(金) 23:31:30 | URL | たいむ #-[ 編集]
>たいむさん
私も『夕凪』パートで、涙が止まらなくなりました。
顔がパリパリになり、帰宅してすぐ顔を洗いました。
ティッシュも全部使い切り、鼻も赤むけに。こんなに泣くつもりなかったのに...。
マンガは淡々として『桜の国』なんか飄々として笑える部分もあるんですよ。
あ~七波役の麗奈ちゃんは、もっと色黒でしたね。
つい、麻生さんと同じレベルで、女らしく描いちゃいましたね(笑)
小さい頃は野球チームに入ってるくらいのボーイッシュなタイプでしたもんね。
2007/09/01(土) 10:33:43 | URL | 管理人 #-[ 編集]
良い映画でした。
原作は、さすがに素晴らしい賞を取っただけの
ことはあるようですね。

原作にどこまで忠実に描くかは、
映画化に当たっての悩み所でしょう。

桜の国のほうがちょっと落ちるというか、
夕凪の街の出来がとてもよかった。

私は堺正章がミスキャストと見ましたが、
打越君もあれじゃ、ちょっと、、、。
2007/10/23(火) 14:00:58 | URL | KGR #-[ 編集]
>KGRさん
原作は、どちらの物語もすんなり続いて読めたんですが、映画のほうは”夕凪の街”が良かったですね。難しいとこです...。

私も、堺正章さんでテンション落ちてしまいました。
原作キャラに確かに似てるんですが、ちょっと感情移入が出来ませんでした。
堺正章も打越君も、あんなに変わっていたとはね!時の流れって怖い(涙)
2007/10/24(水) 00:12:19 | URL | 管理人 #-[ 編集]
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