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ミリキタニの猫
2007年09月23日 (日) | 編集 |
はらはらと落ちてゆく怒り。少しずつ癒されてゆく魂の旅。今87歳、ミリキタニ。

ミリキ2448.jpg

ちょっと前に『ミリキタニの猫』を観た。
絵も猫も好きで観たんだけど、途中で思いがけず泣いてしまった。
えっ、こんなに泣く映画だとは思わなかった。ぎゅっと心をつかまれた気がする。

最近、心に傷を負った人々を癒すために包帯を巻く『包帯クラブ』や、子供の頃に受けた性的虐待でトラウマになった女の子を”本物のブルース”で癒す『ブラック・スネイク・モーン』等の『心や魂を癒していく』映画を観たけど、さすがにこの映画はドキュメンタリーだけあって、その意味は深く重く、見応えは群を抜く。

いや、まず、この映画はドキュメンタリーなんで、こういう『主人公が魂を癒していく』結末にしようなんて脚本は無かった、と思う。
ニューヨークに住む若い女性リンダ・ハッテンドーフが、ホームレスの路上アーティストの”猫の絵”をたまたま買ったのが、きっかけだったから。

そして、撮り始めたこのホームレスのじいちゃんときたら、過酷な自分史を抱えた人だった。
日系移民の子としてアメリカで生まれ、3 歳で一家は日本へ帰国。
18歳の時、兵学校を嫌い、アーティストになろうと、姉のカズコ一家と共にシアトルに移住。
アメリカ国籍を持ちながら日系人強制収容所に入れられ、母の故郷のヒロシマは原爆で親や親戚は全滅。

見ていると、あぁこの人は80歳(撮影当時)の今になるまで”傷”が癒えなかったんだ。ずっとずっと”怒り”を胸に抱き続けていたんだなぁ、というのがよく分かる...。

そんな中で、あの”9・11”が起こる。えっ本当にこれドキュメンタリー?!
ひっきりなしのサイレンと濛々と立ちのぼる有毒の煙の中で、咳き込みながら絵を描いているミリキタニ氏。そんな彼を見ていられず、リンダは自分のアパートに連れて帰る。
リンダのアパートも、あのビルの近く。室内の撮影は、9・11のTVニュースを流し続ける。
日本では見れない映像と内容のニュースもあり、臨場感たっぷりである。

このアパートで、リンダとミリキタニじいちゃんの奇妙な暮らしは、彼の心を和らげてくれたようにみえる。リンダが夜遅い帰宅の時は『若い女性がこんなに遅くに~』と泣きそうな顔で心配し、彼女に心を許しているのが見て取れる。

『市民権も社会保障も、アメリカのものは要らぬ!』と断固拒否する頑固じいさんのミリキタニ氏であったが、リンダの助力や労力で新しいアパートに住めるようになる。
それもまた、アメリカの一面。
そして、あのツールレイク強制収容所への巡礼ツアーに参加する...。

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↓下に続く。

このツールレイク収容所で、6歳上の姉と違う棟になり、別れたきり、その後逢えない...。
この辺から、悲しくなってきた...。泣くつもりじゃないのに、涙が止まらない。

その姉ともリンダの助力で、逢える。
ミリキタニというのは ”三力谷”という非常に珍しい名字だったせいもある。

リンダや周りの人の友情や助けで、彼の心が融けてゆくのが分かる。
長年の”怒り”を鎮め、背筋をすくっと伸ばした穏やかな彼の表情は、見ているこちらも、ほ~っとするものがある。
ドキュメンタリーなのに、なんと着地点は、彼の魂を癒す長い旅を描いた映画になっていた。

ドキュメンタリー映画なので万人向きじゃないし、スゴく面白いというわけでないが、ミリキタニ氏の絵と人物に興味を抱いた人は観てほしい、と思います。


『ミリキタニ氏と猫の絵』
ミリキ445.jpg

彼が収容所に居た頃、慕ってきた小さい男の子が『猫の絵を描いて』とせがむので、描いてあげた。
その男の子も収容所で死んでしまった。
彼の『猫の絵』は、その男の子に描いてあげてるのかも知れない。
彼の絵のモチーフとして、何枚も何枚もあるから。


ミリキ4450.jpg

ミリキタニの猫
 





ミリキ3449.jpg









ミリキタニの鯉









若沖の絵のような可愛らしい生命力と躍動感のある色づかい。

ずっとずっと絵を描き続けてほしい、と思う。


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コメント
この記事へのコメント
こんばんわ
あんさん、こんばんわ。
撮影に入ったあとに9.11が起こったことがこの映画を完全に変えてしまいましたね。
その直後の、彼の過去を重ね合わせたような場面も撮れなかっただろうし。リンダ監督との同居生活もなかったかもしれないし、もちろん、その後も。

取材対象の過去をたどるだけじゃなくて
未来を大きく変えてしまう...。
すごいことですよね!
こんなドキュメンタリーはじめてみました!
2007/09/25(火) 20:03:24 | URL | moviepad #JalddpaA[ 編集]
>moviepadさん
こんばんは。
この映画、ホントに9.11で大きく変化しましたね。
9.11が、まさか画面に流れ込んでくるなんて!思いもよりませんでした。
リンダ監督も読めない展開だったでしょうが、観ているこちらもビックリしました。
ドキュメンタリー映画って、後味が悪いものが多い気がするんですが、この映画は全く違いますね。
驚きのドキュメンタリー映画でしたね。私もいい映画だ!と思います。
2007/09/25(火) 23:00:37 | URL | 管理人 #-[ 編集]
ミリキターニ
ロシア系のアジア人かなと観る前に思ってましたが、
三力谷という日系の人だったんですね。納得。
予想もしていない感動的な展開に嬉しい驚きでした。
それにしてもリンダの所の三毛(ですか?)が可愛い〜と思ってたら、
ミリキタニ爺ちゃんが拾った猫のまた可愛い事! 用意したみたいに可愛いくってこれにもちょっとビックリ。
たくさんの人に観て欲しい素晴らしいドキュメンタリーでしたね。
2007/10/28(日) 02:37:08 | URL | ゆるり #5JmtOr7U[ 編集]
>ゆるりさん
『ミリキタニ』って名前、何処の国出身か、分かりませんものね。
本当に、驚きの展開でしたね~!結構、涙がとまらなくて困りました。
うんうん、リンダのミケ猫、可愛い!すごく甘ったれで、驚いた顔もかあいい(笑)
なのに、ミリキタニ爺ちゃんがちゃっかり飼う事にした子猫も、可愛い!!
この映画、あんまり観る機会が無い人が多いでしょうね、勿体ない!ですよね。
2007/10/29(月) 12:11:09 | URL | 管理人 #-[ 編集]
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2007/10/01(月) 11:47:25 | 専門家や海外ジャーナリストのブログネットワーク【MediaSabor メディアサボール 】
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