映画やマンガを中心に、好きなものだけチョイス。下手甘イラスト付きレビューです。『笑いと元気』が合い言葉。
スポンサーサイト
--年--月--日 (--) | 編集 |
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

宮廷画家ゴヤは見た
2008年10月12日 (日) | 編集 |
↓『まわりの役者を食らうハビエル・バルデム』paint by 気ムラ屋あん。
ゴヤ810.jpg
宮廷画家ゴヤが描いた2枚の肖像画、美少女イネス(ナタリー・ポートマン)と神父ロレンソ(ハビエル・バルデム)
この2人の数奇な運命を、ゴヤは見つめ続ける事になる...。


私の中で、ゴヤはもっと古い時代に活躍した画家だというイメージがあって(単なる無知だが)フランス革命(1789年)の頃と重なっていたとは知らなかった...。(この物語は、1792年、カルロス4世在位のスペインを舞台に始まる。翌1793年には、フランスではルイ16世とマリー・アントワネットが処刑される)その後のナポレオン率いるフランス軍に占領され、イベリア半島戦争も続き、スペインは動乱の時代だったんですね。(ん~、世界史の勉強になる~)
この時代を描いたフランス映画は沢山あれども、スペイン映画は、それこそペネロペ・クルスの『裸のマハ』ぐらいで(←ただ動乱は描いてない)あまり無いような気がします。それだけにスペイン宮廷の様子や、スペインから描いた侵攻など、興味深いものがありました。

『異端審問』ショッキングでした!
カトリック以外のものを異端視して、拷問し"告白"させ、拘束もしくは処刑するというもの。中世の異教徒廃絶の宗教観、苛烈ですね。
ゴヤが気に入って絵のモデルにしていた美少女イネス(ナタリー・ポートマン)がいわれなき嫌疑を受け拘束される、という不条理さ。拷問シーンは僅かでさっとした描写ながら、ナタリー・ポートマンが凄まじい変貌ぶりを見せ、その残酷な処遇がよく分かります。彼女の品のある顔立ちは古典劇によく似合いますが、前半の美貌から後半の襤褸雑巾のようになるまでが、衝撃的です。


さて、映画と違って、私が考える実際のゴヤ像......
ゴヤ812.jpg不細工に描いて、王妃の不興を買ったというこの騎乗肖像画のエピソードからも分かるように、ゴヤ自身は観たままをそのまま描く鋭い観察力も自由さも持ち合わせている...。そして、女神となる女性は美しく魅力的に描いた...。
宮廷画家として上手くやりながらも、一方で戦争を描いた銅版画や晩年の"黒い絵"シリーズの代表作『我が子を食らうサトゥルヌス』など暗くて怖い絵をみると、ゴヤはなかなかどうして我も個性も強い人間だった、と私は思います。

しかし、映画のゴヤは芸術家の奔放さはなく実務家のように地味で、ひたすら観察者であります。

ナタリー・ポートマンも驚く演技なのですが、やはり語るべきはロレンソ神父役のハビエル・バルデム!『宮廷画家ゴヤは見た』という題名さながら、ゴヤは狂言回しの役どころで、視線はどうしてもロレンソ神父(ハビエル・バルデム)にいってしまう。ロレンソ神父はスペイン教会に忠実で異教徒廃絶の先頭に立ちながら、イネスの家族に『娘を返せ』と締め上げられたら、すぐ音をあげる脆弱さ。エロ神父。
価値観が変動する時代とはいえ開き直った変節漢ぶり。権力を持つ人間の傲慢さや弱さを嫌らしく演じるハビエル・バルデムは、目が離せない。う~む上手いです。

最後のシーンでの、彼の表情をとくとご覧いただきたい。(『ノーカントリー』でも、男を絞め殺す時に凄い表情していたけど)う~む、ハビエルさん、やりたい放題である。ここまでヤってみせてると、本人、楽しいんじゃあるまいか(笑)


『イースタン・プロミス』のヴィゴ・モーテンセンを "見たい、見ちゃいけない、見たい、見ちゃいけない、あ、見たい"とするならば......。
『宮廷画家ゴヤは見た』のハビエル・バルデムは "見たくない、見てしまう、見たくない、見たくない、うっ、見てしまった”といったところ。

なんというどろりとした存在感。ハビエル・バルデム酔い(ほろ酔いどころか、泥酔w)してしまうほど。『濃い~!』という言葉は、彼に捧げよう(笑)


ゴヤ811.jpg最後は描き方によっては悲劇的なはずなのに、荷車の周りを子供が歌いはやし、妙な乾いたユーモアとペーソス感があり、イネスをとぼとぼと追うゴヤは、ミューズを永遠に追い続ける業を抱いた画家の姿に見えたのでありました...。

ミロス・フォアマン監督の過去の2作品は、とてもよく覚えています。
『カッコーの巣の上で』は、あの揺れるような音楽とジャック・ニコルソンが演じた人物の結末が、衝撃的だったし。
『アマデウス』は天才と凡才の確執と嫉妬が絡む人間描写が、凄く新鮮だった。
パンクっぽい軽薄そうな(これだけでもビックリ)モーツァルトがサリエリの曲をさらっと編曲して見事な演奏をしてみせるところとか。

今よりずっと感性が摩耗してない時期に観たので、この2作品は印象深い。
えーっと、それに比べると、この作品は私の中ではややインパクトに弱い...。
が、それでも、なかなか見応えがある秀作だった、と思います。

この映画は、ゴヤの絵も製作過程も堪能できるし!この時代のスペインはゴヤの絵のように暗めで美しく哀しい、と思いました。


誰かの『好きな人』ランキング第1位になれば、それでいいのだ。
↓あ、クリックよろしくデス^^

banner_03.gif

スポンサーサイト

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。