映画やマンガを中心に、好きなものだけチョイス。下手甘イラスト付きレビューです。『笑いと元気』が合い言葉。
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容疑者Xの献身
2008年10月06日 (月) | 編集 |
物理学者が友を想う時、数学者は恋をする。

ガリ808.jpg
帝都大学理工学部物理学科の准教授、湯川学(福山雅治)が、今度の事件に興味を持ったのは、容疑者(松雪泰子)が儚げで色っぽい美人だった事と容疑者の隣人が旧友だったから。

私は『チームバチスタの栄光』の映画(原作は好き)より、こっちのほうがずっと楽しめ面白かった。多分、一番大きいのは鑑賞前に『容疑者Xの献身』の原作を読まなかった事が、大きい。(『探偵ガリレオ』『予知夢』は読んだ)

ミステリー映画は、原作を読まないのに限る!これ大事(笑)

今回は、特に、結末は二転三転する。犯人も死体隠匿を手伝った者も最初に判っている、というのに。ホントのホントの事実が解明されていく時、私は原作をまだ読んでなくて良かった!と、つくづく思った。(現在は読了)

それに『チームバチスタ』の主人公は、出世街道から降り、さりとて世捨て人にもなれない物思う事が多い何とも魅力的な男だったのに、ただの癒し系のほんわりした女になってるし。

こちらの物理学者『ガリレオ』に絡むのは、刑事の草薙俊平(北村一輝)じゃなく内海薫(柴咲コウ)だが、要らないと思いつつ、まっワトソン君的役回りだしいいか...とTVドラマで観ているうちに諦めがつく(笑)
TVドラマで馴染んだ面々...助手の栗林さん(渡辺いっけい)や監察医の城之内桜子(真矢みき)刑事の弓削(品川祐)にも、会えて嬉しい。

土曜のTVドラマ『ガリレオ・エピソードゼロ』では、若き日の湯川と草薙はピカピカの三浦春馬と佐野和真なのに、栗林さん(渡辺いっけい)はそのまま(髪だけヤングw)出て来るのが笑えた。この『エピソードゼロ』も、何故、物理学者が刑事の捜査に協力するようになったのか?繋がりが分かって、興味深い。もちろん、石神も出て来て、映画の序章となっている。

ガリ809.jpg『この証明は美しくない』と言って、4色問題を一心不乱に解いていた大学時代の石神。純粋だが、生き方が不器用で数学以外に関心が無い。

その石神が数学の美しさ以外の "美しさ"に、彼は初めて気づく。

"恋"というより"生きる希望"をもらった石神は、愛する者のために無償の愛を捧げる。
その一方で、明晰な頭脳で計画した冷徹な犯行もやってのける。

石神が計算し尽くした完全犯罪の方程式を、湯川は苦悩しながら解く。


彼の数学の才能や人柄を惜しみ、無念に思う湯川学。

天才物理学者VS天才数学者。
お互い本物と認め、自分を理解してくれる数少ない友達。

感情に流されない合理主義者の湯川学も、さすがに、この友を想う時、気持ちは揺れ動くのだった。

『この問題を解いても、誰も幸せにならない』と、石神は言った。

しかし、最後に花岡靖子が叫んだ時、少なくとも結末は美しかった...のかも知れない。


映画を観た後に、ぜひ原作をおススメしたい。

原作が小説である映画を、何度か観ている人は気づいていると思うが、かなり薄い本じゃないと映画のストーリーとしてうまく消化出来ない。案外、省略される部分が多い。

このミステリーは、最後の最後までトリックが判らないし、途中までこちらはひっかけ問題に騙される事になる。映画だと、なおさらである。

映画の中で、今ひとつ腑に落ちない事情は、原作のほうで丹念に追っている。

石神は大学院に進まなかった後、段階を経て高校教師になっているし、映画の日常ほど虚ろにやり過ごしていたわけではない。やる気の無い生徒に『何のために数学を勉強するのか?』『いったい何の役にたつのか?時間の無駄だろ?』(←私も高校時代ずーと思ってた)と質問されて、生徒の関心事に絡めて丁寧に説明したりする所もある。色んな経過を知るには、原作を読んでほしい。

そして、淡々とした筋運びなのに、なんと最後は慟哭の叫び!いきなり胸を掴まれる。

あぁ、この最後のために "石神役"は手練の役者を持ってこないといけなかったのだ。

ちなみに、原作では石神(堤真一)は醜い男で、工藤(ダンカン)は端正な顔をしている。

堤真一はこの間の『クライマーズハイ』も熱演で良かったんだけど、どうしても堺雅人の演技に目を奪われてしまって。それを横目で見ていた(見ていたのか?!)堤真一の今度の演技は、実に興味深い!と思う。

『手紙』もそうだけど、原作より映画のほうがウェット過ぎる...お~いおい。
福山雅治を見に行っただけなのに、石神の人生が物哀しくて、泣いてしまった。

湯川の友への気持ち、石神の愛する人を守ろうとする気持ち。
クールな湯川が揺れに揺れて、社会的な地位や立場を抜きにした理系男たちのピュアさ加減に、こちらも胸を揺すぶられる。

原作も良い!『容疑者Xの献身』...献身!ホント、題名どおりである。

追記:日本のガリレオ先生たち、ノーベル賞、おめでとうー!!ノーベル賞を獲るような本当の物理学者は、87歳だったり、髪がスゴい事になってたりするんだ、と妙に納得しました(笑)

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